第1回 「はたらく」を、もっと自由に、創造的に楽しむ場へ。

Interview

人はなぜ、はたらくのでしょう。
収入を得ることはもちろんながら、人生における大きな時間を費やし、なにかを成し遂げるという行為は刺激的です。その「はたらく」を、もっと自由で創造的なものにしたい。人々が健康でいきいきと働いてほしい。昨今、さまざまな働き方が求められているなかでオフィスはどう変化してゆくべきなのか。その想いから生まれたのが、中央日本土地建物グループのオフィスブランド「REVZO」です。

2020年6月に竣工した、REVZO虎ノ門

オフィスビルの開発を通して考え続けた「はたらく」という行為

中央日本土地建物グループは、都市開発事業、住宅事業、不動産ソリューション事業、資産運用事業を展開する総合不動産会社です。コワーキング・シェアオフィスのSENQから京橋エドグランなどの大規模再開発オフィスビルなど、中央日本土地建物グループはこうしたオフィスビルの開発を通じて、「はたらく」という行為を長く考えてきました。

これまでのオフィスビルは、効率的・高性能で安心・安全が最優先で求められてきました。一方でこれからの働く場として、機能性だけで良いのだろうか、新しい働き方に対応するには、オフィスビルとしてもっと実現しなければならないことがあるのではないだろうか。そのような考えを巡らせるなかで「REVZO」のプロジェクトが立ち上がりました。

中央日本土地建物(株) 事業推進担当 有村亮
REVZOブランドの立上げに携わり、REVZO虎ノ門の事業推進を担当。これまでオフィスビル開発プロジェクトの商品企画や事業推進に携わり、エリア特性と向き合いながら、新たなアプローチを加えたオフィス開発を進める。
F-INC. 代表 萩原房史氏
REVZOのブランディング全般を担当。ブランド戦略およびコンセプトの立案、ブランドネーミング開発、ブランドロゴのデザインおよび VIデザインの開発、施設内サイン・ピクトグラム、Webやコンセプトブック、物件パンフレットなどのディレクションを行う。

「新たなニーズに応える。」プロジェクトの起点とは?

事業推進担当の有村亮は、「働き方が多様化するなか、これまで通りの手法で高性能なオフィスビルを提供するだけでは応えきれないニーズの変化を感じていました」と振り返ります。
そこで社内の若手を中心とした新しいオフィスビルのあり方を検討するプロジェクトチームを結成。新たな「はたらく」場のかたちを探り、オフィスビルに求められるニーズを顕在化したREVZOの原型を形づくりました。
またプロジェクトチームは中小規模オフィス市場に築浅物件が少ないことにも着目しました。近年の再開発で延床面積5,000坪以上の大規模オフィスは数多く供給されているものの、中小規模オフィスの新設は伸び悩んでいます。近年新しい働き方が広がるなか、それに対応できる適切な中小規模オフィスは潤沢に供給されてはいません。さらに大規模オフィスと比べ、限られた面積内で貸室以外のサービス空間を充実させることは難しいのが実情です。
「私たちがこれまでに供給できていなかったニーズが見えてきました。中小規模オフィスでも多様性のある新しい場所を作ることで時代の要請に応えたい。それがプロジェクトの起点です」


REVZOが新たに提供する6つの価値

そこで新たな「はたらく」場の形を探るべく、ブランディング会社「F-INC.」をパートナーに迎えました。両社で議論を重ね、”「はたらく」を解き放つ」“をキーワードに掲げ、「REVZO」が実現する新たに提供する6つの価値を下記のように言語化しました。

F-INC.の萩原房史はこれらを「知的生産性を生み、身体が満足する場」に必要な要素であると言います。そして「人々が健康で生き生きと働くことのできる場とは、いままでの働き方に囚われないことが必要だと感じ、それを『解き放つ』という言葉に込めました」と続けます。それを受け有村は、「提供する6つ価値のうち、快適・上質・安全の3つはこれまでも当社が大切にしてきた普遍的な価値です。それらは例えば、快適な執務空間、上質な内外装、セキュリティや耐震性、停電対策といった高い安全水準です。それに『自由・健やか・知的』の3つを加えることにより、これまで以上に働く人に焦点を当てたオフィスビルを実現したい。人々が能動的に、自分に合ったはたらく場所を作り、健康でいきいきと働くことのできる場とすることが大きな目的となりました」と言います。

通りに面した植栽が目を引くエントランス
大型モニターが設置されたエントランスホール
最上階に設けられたラウンジ

はたらく場に多様性をもたらす、REVZOの空間

「REVZO」の第1号となる「REVZO虎ノ門」は、通りに面した植栽が街行く人々の目を楽しませます。エントランスホールの大型モニターには日本各地の四季折々の風景や館内で使用される家具や調度品の制作風景、その作り手が暮らす街の姿が映し出されます。最上階にはフレキシブルな使い方で交流を促すラウンジが設けられました。
「最上階には各社が自由に利用できるラウンジを設けています。本来であれば賃貸で収益化を図る空間をパブリックな場としました。会議やプレゼンテーションに使っていただいてもいいですし、パントリーがあるのでパーティーを開くことも可能です。シェアオフィスのように、他社間での交流が生まれることもあるでしょう」と、有村。

各階に設けられたバルコニー
軽やかなカーテンによりプライベートを保護しながらも光が差し込む
アートワークが設置された階段

さらに「REVZO」の独自性は、テナント各社が入居する各フロアで際立ちます。より健やかでクリエイティブな時間を生み出すため、オフィスビルながら窓が開き、緑豊かなバルコニーに出ることができます。窓から自然の風が吹き込み、季節によって表情を変えるバルコニーの植栽には実をつける植物も。光が射し込む大きな窓は閉ざされがちなブラインドではなく、軽やかなカーテンに。壁面にアートワークを設置した階段は、思わず昇降を楽しみたくなります。
通常のオフィスビルでは、空調制御設備による一元管理で館内の温熱環境を保つため窓は開閉不可とし、メンテナンスコストと負担が増加するバルコニーや植栽は設置されないことが一般的です。しかし、「REVZO」では、働く方にとってより快適な場を提供することを目指し、管理面も含めた問題点を検証のうえ、こうした機能を実装することを実現しました。

「私たち中央日本土地建物グループは共創、つまりみなさんとともに地域や環境に調和したオフィスビルや複合施設を開発してきました。REVZOでは人々が自分で何かを感じとり、思いつき、行動できる場にしたいと考えています。どのような環境で仕事がはかどるかは、業務の種類や内容だけでなく、体調、感情、時間帯によっても変わります。REVZOでは一つのオフィスのなかに多様なはたらく場の選択肢を用意しています。最上階には各社が利用できる共用のラウンジを設けており、各階の貸室では天井の高い開放的な空間で働きながら、気分を変えるために窓を開け、バルコニーで自然の光・風・緑を感じることができます。図らずも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で顕在化しましたが、そうした欲求はすでに人々のなかにあったのではないでしょうか。集中する創造の時間とコミュニケーションから生まれる新しい発想や価値。こうして個々が輝く場づくりは時代の要請ですし、企業が次のステージへと成長するお手伝いを空間で叶えていきたい。私たちはその手助けをし、新たな人材の発掘や育成を促す空間で、これから成長を目指す企業とともにありたいと考えています」